肌や体の痛みに効くアロマ~長谷川桜子

肌の不調や体の痛みに

吹きでものには
体のなかでホルモンの変化がおきている

私たちはみんな、ときとして顔に吹きでものができることがあります。それも、どこか特別なところにでかけるときや、自分がいちばん魅力的に見えるときにできてくるように思います。吹きでものは、生理の直前またはそれがはじまったときに生じることがときどきあります。これは、体のなかでホルモンの変化がおこっているからなのです。毛孔がつまるせいで顔に吹きでものができることがよくありますが、これは肌を十分に洗浄するように毎日気を配っていれば防げます。食物にたいするアレルギーも顔の吹きでもののむかしからの原因ですが、この場合はアレルギーの原因となる食物を避けることです。

精油で吹きでものを消す方法

吹きでものが生じた場合には、樟脳油、ティートリー油、ニアウリ油、ラベンダー油、ユーカリ油など、手近にあるどんな精油でも、それを綿棒の先にしまこませて、それをその吹きでものに直接つけます。この応急手あてで吹きでものが一晩のうちにおさまってしまうことがよくありますが、これを2~3日つづければ、吹きでものは完全に消えてしまいます。このときにはまた、体の浄化プロセスを助けるために純粋な水をたっぷり飲むことと、さらにアレルゲンをそれ以上体内に入れないように食生活に気を配ることが申すまでもなく大切です。

日やけのしすぎ

私たちの大部分は、一度や二度はたいてい運悪く日やけしすぎて痛くて痛くてたまらず、日やけの手あて用ローションを肌につけながら、あの焼けつく太陽の光をもう決してあまくみないようにしようと誓った経験があるものです。

日やけにはラベンダー油とティートリー油

ラベンダー油とティートリー油は、どちらも日やけしすぎた肌を鎮静させ治癒させる驚くほどの特性があります。この二つの精油は、日やけしすぎた皮膚が小さい部分に限られているならば、薄めずにそのまま使えますが、背中が日やけしすぎた場合のように患部がひろいときには、稀釈して用いる必要があります。脂肪油はこのとき使用するには不向きです。脂肪油は熱をもってしまい、症状をいっそう不快なものにするためです。ですから、ラベンダー油やティートリー油は水で薄めることです。そしてそれを、顔を洗浄したりおなかに湿布したりする場合よりも高い濃度で使用することができます。

ローション液の効果的な使用方法

1リットルの水に5ミリリットルのラベンダー油またはティートリー油を入れて、勢いよくシェイクして下さい。もめんのハンカチのようななめらかな素材の布にこのローション液をたっぷりしみこませ、それをやけどした部分にあてて、布が乾いたらすぐにまたこの湿布をくり返すようにします。この治療をしますと、熱が大はばにひき、日やけしすぎた肌が鎮静化されます。そして家なりホテルなりに帰ったら、ぬるいおふろを用意して、そこに2~3滴のラベンダー油かペパーミント油を落として沐浴すると有効です。

アルコール飲料は禁物

湿布をする代りに、植物用のスプレーにぬるま湯をいっぱいに入れてそこにラベンダー油を数滴加え、その液をやけどした部分に噴霧してもけっこうです。これで、痛みがすぐに和らぎますが、これを必要なだけ何度もくり返し行うことができます。また、このときにアルコール飲料は禁物です。体はダメージをうけた皮膚を修復するために、ぜひとも水が必要なのに、アルコールは体から流体を奪ってしまうからです。ですから、この場合には水をたっぷり飲んで下さい。そして、アルコール飲料は日やけのしすぎが治癒したときのお祝いのためにとっておいて下さい。

注意点

吹きでものに精油を薄めないでそのままつけるときはべつとして、皮膚に未稀釈のまま使える精油は、ラベンダー油とティートリー油だけです(ティートリー油に耐性のない人が少数ですがいます。こうした人びとは、やけどの治療にはラベンダー油だけを用いて下さい)。

足浴で足をさわやかに

ボウル1ぱいのぬるま湯に(浴槽に底から数センチの高さにまでお湯を入れて、浴槽のふちに腰をおろしてもけっこうです)ペパーミント油を2~3滴加えて、ほてって痛む両足をそこに15分ほどひたしますと、とても気持ちがよくなります、ペパーミント油は、信じられないほど冷却作用がある天然のメントールを含んでいるので、とてもはやく効果があらわれます。

足のにおいにはサイプレス油

足がいやなにおいをさせるのも困ったものです。足がこうなるのは、女性よりも男性のほうが多いようです。たぶん、男性は女性よりも厚い靴下をはき、重い靴をはくことが多いせいでしょう。サイプレス油は天然のデオドラント剤で、これをひんぱんに用いていますと、この悪臭を最小限に食いとめることができます。サイプレス油を6滴加えて、毎日足浴して下さい。

高血圧の人には

ラベンダー油には鎮静作用があり、また血圧を下げる力があるとされてきましたので、私はこの精油を、高血圧で悩んでいる何人かの人びとにすすめてきました。私の母も高血圧なので、いつもラベンダー油を入れたおふろに入るようにしていますから、この病気のためにお医者さんが処方した薬剤を、もう長い間、服用しなくてもすんでいます。

もちろん、母もいつでもラベンダー浴ができるわけではありませんので、何かカッとしたり、自分が興奮していると感じたりしたときにはいつも、ラベンダー油をちょっとティッシュペーパーにつけて、2~3分間その蒸気を吸入するようにしています。あなたが高血圧症だったら、お医者さんに処方してもらった薬を服用するのをよそうと思った場合、かならずかかりつけのお医者さんにそのことをまず相談しなくてはいけないことは申すまでもありません。

頭痛にはこうして
首の筋肉にラベンダー油をすりこむ

頭痛は肩こりのせいでおこることがときどきあります。ネックの部分が支えなくてはならない頭の重さを考えれば、これはそれほど驚くにはあたりません。また、私たちが、学校であれ、カレッジであれ、オフィスであれ、机にむかって読書に没頭するとき、いつも信じられないほど緊張しているのがネックのうら側の筋肉です。このネックの筋肉の緊張のしすぎから頭痛になったときには、ネックの筋肉のところにラベンダー油を少しつけてすりこみますと、頭痛をはやく、しかも安全に和らげることができます。これは、アスピリンやパラセタモールなどの製剤を服用するよりもずっと理屈にかなっています。

目の緊張には、こめかみとひたいにラベンダー油を

製剤の場合は、何よりもまず消化され、血流のなかに入るかたちにされ、血液にのって痛みを示している脳まで旅をして、それからその痛みを和らげなければならないからです。もう一つ、よくある頭痛の原因は目の緊張です。目の緊張のせいで頭痛がおきたときにも、ラベンダー油を両方のこめかみとひたいにそっとすりこめば効きめがあります。しかし、頭痛がどうして生じたのかをしっかりみきわめ、何か措置を講じるのは避けたほうがよいときもあります。

私の場合を申しますと、私の頭痛は二つのかたちでおこります。その一つは、例えば私が長い距離をドライブして、一日のうちに遠すぎる距離をむりして走り、まともに食事もせず、十分な休憩もとらなかったような場合です。こんなときに生じる頭痛は、ただ私が休憩をとることが必要だと知らせているだけなのです。また、同じように、頭のなかでは1時間ごとに5分の休みをとらなければいけないと知りながら、つい長時間にわたってパソコン相手に仕事をしたときです。私はめったにそんなことはしませんが、そうなると私の頭はアラーム時計のようにずきずきして、「さあ立ちあがって、この機械から離れて歩いていくときだ」と知らせるのです。私は外出して新鮮な空気を呼吸したり、芳香拡散器にリラックスさせてくれる何かの精油を2~3滴入れて、20分ほど横になったりします。

蜜湯に入れたペパーミント油も

頭痛が吐き気といっしょに生じたときには、それが頭痛であっても片頭痛であっても、それにいちばんよく効く薬は蜂蜜湯に入れたペパーミント油です。この混合物を小さじですくって飲むと、吐き気と頭痛はどちらもスピーディーに消えます。食べすぎや消化不良のせいで生じた頭痛は、ペパーミント油をティッシュペーパーに落としてそれを何度も嗅げばよくなります。しかし、頭痛にいちばんよい治療法は、ただしごとをやめてベッドに入り、ぐっすり眠ることだという場合もときどきあります。そのときには、枕のへりにラベンダー油を1滴か2滴つけておくと効果的です。

歯痛に効果のある精油

歯が痛いときにはクローブ油がむかしから使われてきた薬ですが、これは今日でも同じようによく効いてくれます。いまでは、薬局方から大半の精油が姿を消してしまいましたが、クローブ油は依然として、ここにリストアップされていて、たいていの薬局で販売しています。クローブ油にはかるい麻酔作用がありますから、これをつけると局部的に神経を麻痺させます。脱脂綿か綿棒にこの精油を1滴つけて、痛む歯のところにつけます。ペパーミント油を痛む歯につけても、同じようによく効きます。

帯状疱疹には

免疫系の働きが弱っているとき、これまで水ぼうそう〔水痘〕のウイルスにさらされたことのないおとなは、こどもからかんたんにこの病気をうつされてしまうことがあります。このときあらわれる症状は水ぼうそうではなく、帯状疱疹なのです。これはとても痛む場合があります。体のなかで休眠していた水ぼうそうのウイルスが、免疫系の力がおとろえたときに、増殖することもあります。これには、患部をごく薄めたラベンダー水にひたします。このとき大切なのは免疫系の働きを正常なレベルに戻すようにバックアップすることです。その方法の一つは、定期的に芳香浴をするやりかたです。

帯状疱疹に効果があるローション

ペパーミント油 1滴
水 1リットルのびん入りのもの

ペパーミント油を水に加え、びんにキャップをして勢いよくシェイクします。そして、びんの中身を半分すてて、もう一度、びんに真水を入れていっぱいにします。そしてもう一度びんにキャップをしてシェイクし、びんの中身をさらに半分すててから再度、真水でいっぱいにします。これで、1リットルの水に4分の1滴のペパーミント油が入っていることになります。このペパーミントローションは、熱をもっていてむずがゆい皮膚を冷やす力があります。ペパーミント油の代りにゼラニウム油を使用することもできます。