健康とアロマセラピー治療~長谷川桜子
かぜと流感
多くのアロマがかぜの症状に効く
精油は、まず肉体的な次元で感染症と闘い、さらに感情的な次元で抑うつ的な気分を明るく高めて免疫系に強く働いてくれます。
ラベンダー油を使う
たくさんの精油が、ふつうのかぜのウイルスと闘うのに使用することができます。ラベンダー油だけを使ってもけっこうです。かぜで体の鈍痛や全身の倦怠感を感じる場合、ラベンダー油を下あごの骨の下からネックの両側にかけて、肩の筋肉の上に、さらに胸の上方へもすりこむようにします。
この場合には、肌の上に稀釈しないこの精油を用いても安全です(もちろん、あなたが過敏でなければですが)。
ストレス緩和にアロマを使う
精油類をマッサージと沐浴とで使用すると、私たちの体からストレスを発散させ、体の緊張を和らげるのを促すことができます。ストレスと緊張とはどちらも、生活を楽しむのを妨げるものです。ストレスが度を超すと、体の免疫系の力が低下し、いっそう病気にかかりやすくなってしまうのです。
サンダルウッド油、レモン油なども効果がある
頭がずきずきしたり、副鼻腔が痛む、鼻水がひどくでる、ネックの部分がこわばり、のどがひりひりする、そのような症状のとき、精油類で治療を行うことができます。まず、ラベンダー油をネックと頭蓋骨の基部とに、また両側の副鼻腔の上にそれぞれすりこみます。つぎに、サンダルウッド油をあごの骨の下(リンパ節のあるところです)にすりこみます。少量の赤砂糖にレモン油を3滴落としてそれを内用してもよいでしょう。夜には、マートル油を1滴ティッシュペーパーにつけて、それを鼻と口の上にのせて、その蒸気が吸入できるようにして眠ります。短期間の間に、かぜの諸症状に大きな効果があがります。
抑うつ症のこと
アロマを使って、気持ちを高める
脚を骨折したときには、それがなおっていく途中、私たちは歩く助けになる松葉杖が必要です。なおれば、私たちはその松葉杖をなげすてます。私たちが悲しみに沈んだり、不安におちいったりしたときも同じで、私たちはときどき何か自分自身の気持ちを明るく高め、自分自身をもっと気分よく感じるのを助けてくれるちょっとしたものが必要になります。そうしたときには、自分の感情をふたたび「コントロールできる」ようになったと感じられるまで、イランイラン油やバラ油やクラリセージ油を使うことができます。
トランキライザーを常用する人
でも、不幸なことに多くの人びとがトランキライザーを服用しています。この人びとの大半は、つらいめにあったとき、「ちょっとした助け」が必要だったのですが、それいらいトランキライザーの常用者となってしまっているために、その錠剤なしにはやっていけないのです。この状態は脚を折って松葉杖を用いているときと少し似ています。しかし、この人たちの場合、その松葉杖を5年も10年も使用しつづけていて、それがもう体の一部になっているのです。これはまさに異常な事態です。これは変えなくてはいけません。
ひどい抑うつ状態になって、何かアドバイスをしてもらおうと思ってお医者さんのもとを訪れる人は多いものです。そんなとき、まずたいていの場合、お医者さんはトランキライザーと睡眠剤を処方します。急性の抑うつ症に襲われたこうした人びとの多くは、不運なことに、いまではトランキライザーの常用者になってしまっていて、それなしにはまともに暮らしていけないのです。私たちがそれを必要とするときに、それを手に入れることができるのは大切なことです。しかし、脚を折ったときに松葉杖を使用し、用がすめばそれをなげすててしまうのと同じことが、抑うつ症の場合にもあてはまるようにしなければいけません。私たちは自分の否定的な感情を克服するための助けとして精油を使うことができ、目的を果たしたら、精油を浴室におきざりにすることができます。
アロマセラピーで抑うつ感に対処する
私自身も確かに、悩み苦しみ、ふかい抑うつ感にとらわれる状況におかれたことがあります。しかし、私は医師の診察をうけたり、トランキライザーを服用しようと思ったりしたことは一度もありません。私は友人にマッサージしてもらったり、自分で芳香浴をしたりして、アロマセラピーに手をのばして、いつもそれに助けてもらってきました。
自分の体をトランキライザーでおさえますと、自分の体の免疫系もおさえてしまうことになるために、襲いかかるさまざまな病気と闘う力が弱まってしまいます。その病気が空気中の細菌とウイルスがひきおこすものであっても、自分自身がつくりだすものであっても、そのために私たちは傷つきやすくなるのです。
アロマは予防医学
アロマセラピーは、もうかかってしまった病気をなおすだけでなく、環境の汚染ならびにしごと、心を動転させる知らせ、金銭上の心配ごと、睡眠不足のせいで生じるストレスを予防することもします。私たちの日々の暮らしに精油を使うことは、予防医学なのです。
クラリセージ油 2滴
ベルガモット油 2滴
イランイラン油 2滴
これらの精油をいっしょに浴湯に入れて、よくかきまわしてから沐浴します。
ラベンダー 20滴
ベルガモット 5滴
これらの精油をいっしょに50ミリリットルのキャリアオイルに加えてできあがりです。
ストレスについて
日々のストレスに配慮することで、ストレスがたまるのを防ぐ
ある程度のストレスはむしろ有益なもので、よい結果を導くものですが、ストレスがひどくなりすぎると、燃えつき症候をまねいてしまいます。日常の衛生に注意するのと同じように日々のストレスに配慮していれば、心と体とがその重みに耐えられないほどのストレスがたまるのが防げます。
人間の経費と人間の利益
車をもっている人だったら誰でも、定期的にエンジンオイルをチェックする必要があることを知っているでしょう。車よりも人間は重要性が低いものでしょうか。この物質万能の世の中では、私たちは経済的な経費と経済的な利益を追求するために運営方式をつくりだした会社のために働くことがあまりにも多いものです。私たちは人間の経費と人間の利益を考えるべきです。
私たちは機械ではない
私たちが果たさなくてはならない数々の義務があることはもちろんです。しかし、私たちには自分自身にたいする義務もあるのです。私たちは機械ではありません。いつでも自分の体に対してより愛情深く気を配る必要があります。そうすれば、より有効に自分の機能を発揮できるばかりでなく、生命の驚異を、そして生命の源泉をいつでも正しく認識できるのです。
現代社会においてストレスは大きな問題
ストレスは、この社会におけるきわめて大きな問題です。社会のなかで、私たちは任務と義務をせおっています。自分の体のストレスが度はずれに蓄積すると、私たちは安楽さを失い病気になってしまいます。そして、人間の体が「もうたくさんだ」とさけびますと、私たちの責任と任務はすべて、誰かほかの人間に代行してもらわなければならなくなるのです。
精油をできるだけ生活に取り入れる
私自身も、自分の生活で非常に多くのストレスを受けることがあります。私がいつもそれをうまく処理しているひけつは、自分の好きな精油類を少し浴湯に加えたふかい温かいおふろにつかって緊張をほぐすとともに、精油類をできるかぎり家庭生活にとり入れることです。自然の芳香を呼吸すると、私は自分が美しくなり、落ちついているという感じになり、その日の気苦労を忘れます。私にとって、精油は神からの贈りものの一つです。その美しさを体のなかに吸入すると、それは私たちがもう一度、生命の美しさを体験するのを助けてくれるのです。
私はまた、あの『風とともに去りぬ』の主人公、スカーレット・オハラの「あしたはあしたの風が吹く」という人生観で日々を暮らしています。心配ごとをかかえこみすぎますと、そのことのどれもうまく処理できないと私は思うのです。いつも私がびっくりするのは、私がどんなに心の痛手をうけている最中でも、どんな悩みをいだいていても、人びとがいつも、私がほんとうに調子がよさそうにみえるといってくれることです。